今日は、令和6年度 第37問について解説します。
特定賃貸借契約重要事項説明の方法に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
① 特定賃貸借契約重要事項説明を行う者は、当該説明に先立ち、特定賃貸借契約の相手方に対し従業員証を提示しなければならない。
② 特定転貸事業者は、業務委託契約があれば、指揮命令系統にない者に特定賃貸借契約重要事項説明を行わせることができる。
③ 特定賃貸借契約重要事項説明は、特定賃貸借契約の相手方が代理権を付与した代理人に対して行うことはできない。
④ 特定賃貸借契約重要事項説明は、特定賃貸借契約について専門的知識及び経験を有する者として国土交通省令で定める者が相手方である場合には説明の省略が認められる。
解説
特定賃貸借契約重要事項説明に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
特定賃貸借契約重要事項説明を行う者は、当該説明に先立ち、特定賃貸借契約の相手方に対し従業員証を提示しなければならない。
×不適切です
特定賃貸借契約重要事項説明は、特定転貸事業者自らが行う必要がありますが、説明を行う者の資格や、証明書等の携帯・提示について法令上の義務はありません。
ただし、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士など、専門的な知識及び経験を有する者によって行われることが望ましいとされています。
つまり、特定賃貸借契約重要事項説明を行う者は、法令上資格や証明書等の提示義務はありませんが、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士などの専門的な知識及び経験を有する者によって行われることが望ましいとされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
特定転貸事業者は、業務委託契約があれば、指揮命令系統にない者に特定賃貸借契約重要事項説明を行わせることができる。
×不適切です
重要事項説明は、特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の従業員が行う必要があるため、原則として出向先の社員または、特定の関係性のある勧誘者等へ重要事項の説明を委託することはできません。
例外として、特定転貸事業者の使用人としての業務(重要事項説明)を出向元の指揮命令系統に服して行うこととしていることが確認できる「出向先及び出向労働者三者間の取決め」において、出向する者が出向元の重説業務を行い、出向元が指揮命令権を持つと明記されている場合は重要事項の説明を行うことが可能とされています。
つまり、特定転貸事業者は、出向先及び出向労働者三者間の取決めがあれば、指揮命令系統がある者に特定賃貸借契約重要事項説明を行わせることができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
特定賃貸借契約重要事項説明は、特定賃貸借契約の相手方が代理権を付与した代理人に対して行うことはできない。
×不適切です
特定賃貸借契約重要事項説明は、原則として特定賃貸借契約の相手方本人に対して説明を行う必要があります。
ただし、契約の相手方本人の意思により、委任状等をもって代理権を付与された者に対し、重要事項説明を行った場合は当該説明をしたと認められます。
つまり、特定賃貸借契約重要事項説明は、特定賃貸借契約の相手方が代理権を付与した代理人に対して行うことができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
特定賃貸借契約重要事項説明は、特定賃貸借契約について専門的知識及び経験を有する者として国土交通省令で定める者が相手方である場合には説明の省略が認められる。
〇適切です。
貸主が特定賃貸借契約に関する専門知識および経験を有すると認められる場合は、重要事項説明および書面の交付が不要とされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
ちなみに、専門知識および経験を有するとして、重要事項説明を行わなくてもよいものとされているのは、貸主が以下に該当する場合です。
①賃貸住宅管理業者②特定転貸事業者③宅地建物取引業者④特定目的会社⑤組合⑥賃貸住宅に係る信託の受託者(委託者が①~④のいずれかに該当する場合のみ)⑦独立行政法人都市再生機構⑧地方住宅供給公社
以上から、正解は選択肢④となります。
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